<ボーイング787>

初飛行の見通し

 ボーイング社によれば、去る6月に見つかった787の主翼と胴体の取りつけ部の強度不足は、再設計と改修工事が順調に進み、もっか確認テストがおこなわれているという。

 最終的にはFAAの飛行承認を受ける必要があるが、うまく進めば12月17〜24日にも初飛行するかもしれないとか。

 ただし一方では、来年初めになるのではないかという慎重な見方もある。その結果、量産1号機の全日空への引渡しは2011年春になるもよう。

 もっときびしい見方は「今後なお再設計の必要が生じ、機体重量が増加し、燃費が増える可能性もある。そうなると製造コストがかさむばかりでなく、顧客との間の契約条件に違反する結果となり、納期の遅れと共に、莫大な違約金を支払うことにもなる」というもの。

 さらに最近はボーイング社の経営陣に対する見方もきびしくなっており、747-8の開発までが遅れ始めたことから、「よほど愚かな連中ではないか」という声も聞かれる。そのボーイング機ばかりを有難がって使ってきた日本航空も同じように愚かだった。その結果が今のようなテイタラクを招いたという非難のとばっちりも出ている。

 このような厳しい見方が当たらなくとも、ボーイング社の経営内容には787の開発遅延によって大きな痛手が生じており、2009年第3四半期は16億ドル(約1,500億円)の赤字であった。

 そうした中、航空機リース会社のGEコマーシャル・アビエーション社(GECAS)は、このほど787を30機発注する意向を表明した。2018年までに全機の引渡しを受け、エアラインへリースする計画。

 これらの機材は、すべてGEnxエンジンを装備しており、GEグループ一体となった戦略がうかがえる。ちなみに787の競争相手、エアバスA350はロールスロイス・エンジンを装備する。

 またGECASによると、エアラインは基本型の787-8よりもストレッチ型の787-9の方に関心が大きいのではないかという。

 なお、同じ航空機リース会社のインターナショナル・リース・ファイアンス社も787を74機発注している。

(西川 渉、2009.11.11)

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