<エアバス対ボーイング>
混沌のA350 エアバスA350をめぐる動きが混沌としてきた。開発途上の同機が再設計に追いこまれるのではないかという報道に対して、エアバス社はまだ何にも決めていないと、否定的な見解を発表した。
その一方で、再設計の報道と同時に、親会社EADSの株価が上がったりしている。メリル・リンチなどの証券会社が「買い」の合図を発したためという。私などは、再設計ということになれば改めて高額の資金が必要だし、余分な出費になって企業としての業績に悪影響が出るのかと思っていたが、そうではないのだろうか。
株価上昇の理由は、将来に期待してのこととか、今までのEADSの株価が安すぎたとしか説明されていない。
さらにまた300人乗りの旅客機を、新たに開発するという報道もある。おそらくは、昨日の本頁にも書いたA350-1000(350席)のことであろう。胴体直径を大きくするというのだが、エアバス社にとっては、この新規開発がおよそ100億ドル(1兆円以上)の出費になるという。
それについて、かのティール・グループは「エアバス社は大きな失敗をしたが、うまいところに的を絞った」と好意的に論評する。
失敗と言ったり、良いと言ったり、話が株価と結びつくと、ライブドアや村上ファンドのように、実態よりも投機的な思惑や我田引水の発言が影響力をもつ。したがって虚像と実像の見分けがつかなくなる。
しばらくは成りゆきを静観することにしよう。
【エアバス対ボーイング関連頁】
A350の設計変更具体化(2006.4.24)
天馬空をゆくか(2006.4.24)
A350設計見直しへ(2006.4.19)
どうするA350(2006.4.12)
A350の設計見直しか(2006.3.31)
ボーイングの鼻息(2006.3.30)
787ストレッチ型の開発決断(2006.3.29)
ストレッチ型787の開発へ(2006.1.11)(西川 渉、2006.5.12)