<エアバスA380>

良いニュースと悪いニュース(2)

1日付けの本頁でA380に関する良いニュースを書いたと思ったら、2日ふたたび良いニュースが伝えられた。この超巨人旅客機が今月19日テスト飛行のため成田空港に飛来するというのである。

 これは型式証明の取得にかかわる長距離飛行試験の一環で、成田空港の設備の適合性や運用状況なども確認するらしい。シンガポールや香港などアジア各地の空港でも同様の確認テストを行なうという。

 とはいえ、A380の型式証明は取れても、量産機の製造には時間がかかる。考えてみれば、試験機には沢山の客席をつける必要がないから配線も量産機ほど複雑多岐にわたることはないのかもしれない。そのため、試験飛行は立派に完了したけれども、量産機の方はなかなかできず、引渡し開始も2008年10月まで今後なお1年間も待たなければならないという奇妙なことになるのであろう。

 この遅れの間に、ボーイングの方は747-400を大きくした747-8の開発を急いでいる。すでに貨物型の747-8Fは最近までに44機の注文を獲得、初号機は2009年後半カーゴラックスへ引渡される。

 747-8Fは747-400Fよりも全長が5.6m長く、貨物搭載量は140トンで16%増、トンあたりの運航費は14%減、燃料消費は17%減になるという。航続距離は8,200km。

 いっぽう旅客型の747-8Iインターコンチネンタルは、747-400にくらべて胴体が2mほど長くなり、座席あたりの運航費も安くなる。その代わり航続距離はやや短くなるが、運航費の安くなる方がエアラインには魅力のはずというのがボーイング社の言い分。

 まだ注文はないが、ボーイング社は数社と交渉中で、年内には受注できる見込みという。これで量産機の引渡しが可能になるのは2010年8月頃としている。

 A380が足踏みしている間に、背後からひたひたと追ってくる747-8の足音が聞こえる。


747-8旅客型

エアバス関連頁

   エアバスA380――良いニュースと悪いニュース(2006.11.1)
   トップの辞任(2006.10.11)
   深刻化するエアバスA380問題(2006.10.10)
   エアバスA350XWB開発計画(2006.8.28)
   エアバス会見(2006.7.28)
   エアバス大変(2006.7.11)
   エアバス立ち往生(2006.6.20)
   A380とインサイダー取引(2006.6.18)

(西川 渉、2006.11.3)

(表紙へ戻る)