<ボーイング>
受注機数と推定割引き額 ボーイング社は1月4日、2007年中の民間輸送機受注数が1,413機になったと発表した。同社の史上最高記録である。これまでの実績は2006年が1,044機、2005年が1,002機だったから、3年間にわたって1,000機を超え、連続して記録を塗り替えたことになる。
受注数が伸びたのは、特に中東およびアジア地域の注文が多かったためと見られる。
機種別の内訳は787が369機で、2004年の受注開始からの累計は817機となった。また737は1年間で846機を受注した。これまでの記録は2006年に729機、2005年が569機であった。777の受注数は141機、767は36機、747は21機であった。
このニュースに関連して、1月4日の「シアトル・タイムズ」紙が面白い表を載せている。ボーイング各機の販売に当って、どのくらいの割引きをしたかという金額を推定したものだ。
割引きとは旅客機の売買契約にあたって交渉の結果、機体の公表価格から機数や顧客に応じて実際の契約価額を安くするものらしい。具体的な金額は、むろん第三者には分からないが、果たしてどのくらい安くなるのだろうか。新聞社として推定したものに、筆者の計算を追加したのが下の表である。
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737 |
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767 |
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787 |
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777 |
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747 |
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合 計 |
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たとえばボーイング737は昨年846機売れた。これに1機当りの公表されたリスト・プライス(単価)を乗じたのが上表の公表価額610億ドルである。しかし実際は割引の結果370億ドル程度にしかならなかったものと推定される。したがって、割引後の推定売上げ高は公表価額に対して60.7%、すなわち6割程度というわけである。また、この売買価額を受注機数で割ると1機あたりの実際の単価は、日本円にして50億円程度になる。
同じようにして各機の割引き状況を見てゆくと、737や787のようによく売れている機種は比較的割引き率が低い。したがって787などは販売単価が高くなる。ただし高いといっても、元の価格の6〜7割程度だから相当に安くしているわけで、なんだか中国で骨董の値段を値切ったり、アラビアでじゅうたんを値切るのと同じような感じを受ける。無論バナナのたたき売りといえば言い過ぎになるだろうが。
この表を見ていて思うのは、ごく単純な推測だが、飛行機の割引は大量発注に対してなされるのだろうが、もうひとつ旧式化して売れゆきが落ちてきたような機種についても割引き率が高くなりそうだ。現にボーイング747の割引率が上表の中で最も高い。それに767も、割引き率の高さから見て、だんだん過去のものになってきた。
さらに1機当りの単価の高いものほど割引率も高いかもしれない。最も値段が高くて、割引き率も一番高い747がそれである。ディスカウント・ショップというのは町の雑貨屋だけに限らなかったのである。
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