<エアバスA380>
良いニュースと悪いニュース(3) 先週からエアバスA380に関する良いニュースと悪いニュースが続いている。
悪いニュースの筆頭は去る11月7日、米フェデラル・エクスプレス貨物航空がA380の発注を取り消し、ボーイング機を購入するというもの。A380の引渡し時期の遅れによって、エアバスが恐れていた事態が現実になったもので、フェデックスはA380の10機発注を取り消して、ボーイング777を15機を購入することにした。
フェデックスは「世界の貨物輸送は引き続き需要が拡大しており、それに応じるため適切な貨物機を必要としている」と述べた。 777の受領時期は2009年に4機、2010年に8機、11年に残り3機になる。
A380の引渡し時期の遅れによるキャンセルは初めてで、他の顧客への影響が注目される。エアバス社としてはキャンセルがなくとも、賠償金を要求される恐れがあり、金額は総計10億ユーロ(約1,500億円)にもなる見込みという。
一方、ドバイのエミレーツ航空はA380を予定通り購入する方針を明らかにした。同航空は45機の購入契約を持っているが、「われわれはA380を必要としており、エアバスに約束通り納入する機会を与えたい」という。
同社は10月上旬、エアバスがA380の納入開始時期を2008年8月まで10カ月延期すると伝えてきたことに対し、「(購入契約に関する)すべての選択肢を見直す」と表明していた。
またドバイからは、政府系ファンド会社、ドバイ・インターナショナル・キャピタル社が9日、エアバスの親会社EADSに出資する方向で資産査定調査を実施するもよう。
同社によると「エアバスのような大きな問題があるところに、チャンスがある」と指摘、事実関係を明らかにするために、調査の一環としてEADSと話し合いをしたもよう。
さらに、シンガポール航空も「10機の購入計画に変更はない」ことを表明し、ルフトハンザ航空も「空港の容量から見て、A380より良い機種はない」としている。
これでA380の受注数は、貨物型が15機、旅客型が142機となった。いずれにせよ、エアバスの現状は同社36年間の歴史の中で最悪の危機を迎えており、報道の中には引渡し遅れによる賠償金や値引きはもとより、他のエアラインに対してもA380の大安売りが始まるのではないかという見方も見られる。ディスカウント率は公表価格の3〜4割引きともいわれる。
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