<エアバス対ボーイング>

パリの余韻

 

 パリ航空ショーが終わった翌日、6月20日付のボーイング地元紙「ザ・シアトル・タイムズ」は、エアカナダが787と777に対する大量発注を取り消したと伝えた。この発注は4月になされたもので、航空ショーでの受注合戦には無関係だが、エアバスとの激しい競り合いを演じているボーイングにとっては手痛い失点となりかねない。

 エアカナダは去る4月25日、ボーイング787について確定14機、仮46機、777について確定18機、仮18機を発注すると発表していた。このような新しい機材の導入に際しては、パイロット組合と経営陣との間で大きさ、速度、重量、収入見こみについて合意しなければならないとする協定が結ばれていた。しかしその交渉が行き詰まり、組合員3,000人が導入反対の投票をしたもの。

 これで新しい機材の導入ができなくなれば、現用767およびA340-300の老朽化対策をどうするか、カナダから中国やインドへの長距離路線に何を使うか、攻勢いちじるしい格安エアラインへの対抗策に何を使うかなど、エアカナダとして将来の経営戦略を考える上で大きな齟齬をきたしたことになる。

 なお、エアカナダは2000年、当時のエアカナダとカナディアン航空が合併したものだが、経営難に陥って昨年9月まで18カ月間、破産法の保護下にあった。

 

(西川 渉、2005.6.21)

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