<エアバスA380>

型式証明を取得

 エアバスA380は12月12日、欧州航空安全当局(EASA)およびFAAの型式証明を取得した。このため、エアバス社は南仏トゥールーズでセレモニーを催し、ルイ・ギャロア社長が証明書を受け取った。

 EASAの型式証明はA380が欧州圏内の安全および環境基準に適合していることを確認し、EU(欧州連合)諸国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスによる商用運航を認めるもの。この型式証明確認のためには42人の検査官が設計内容を審査し、飛行試験に立ち会った。

 一方、FAAの証明は米国エアラインを初め、FAAの証明を有効と認める世界各国のエアラインによる運航を可能とするもの。

 これらの型式証明取得により、A380は量産機の定期路線就航が可能となる。初号機は2007年10月シンガポール航空に引渡される予定。

 しかし残念ながら、このA380の型式証明取得のニュースには、良くないニュースも続いた。ひとつはFAAが提案中の燃料タンクの爆発防止基準が適用されていないという。無論まだ提案中の基準ではあるし、欧州側EASAはこの基準に合意してなく、その必要もないとしている。またエアバス社も燃料タンクには充分な発火対策が取ってあり、これまでエアバス機のタンクが爆発した例は1件もないとしている。

 FAAの要求する燃料タンクの発火対策は、TWA800便の1996年の空中爆発(搭乗者230人全員死亡)にはじまり、タンクの中の酸素を排除する装置をつけるというもの。しかしA380は、事故を起こしたボーイング747とは異なり、胴体内部にタンクをつけているわけではない。それに、こうした安全性の確認については、これまで以上のきびしい試験と検査をしてきたと反論している。

 それにFAAも型式証明を認めたところで、さしあたって問題はないが、将来A380を米エアラインが米国籍として登録する場合は適用されるかもしれない。

 もうひとつ悪いニュースは、型式証明が交付されたその日の朝、パリにあるエアバスの親会社EADSの本社が検察当局の立ち入り捜査を受けた。去る6月インサイダー取引の疑惑を招いて辞任に追いこまれたノエル・フォルジャー元CEOを初め、何人かの経営陣がいまだに捜査の対象となっているらしい。一部には、犯罪事件として広がる可能性もあると伝えられる。

 史上最大のA380がめでたく型式証明を取得したとはいえ、エアバス社には依然として良いニュースと悪いニュースが続くようだ。

(西川 渉、2006.12.15)


A380の型式証明取得セレモニー

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