<ボーイング対エアバス>
ストの影響 エアバス社との間で激しい一騎打ちを演じているボーイング社だが、去る9月の1ヶ月近いストライキによって、今年の引渡し数がかなり引き離される恐れが出てきた。
ボーイング社の従業員ストは9月2日から30日まで28日間続いた。その結果、第3四半期の旅客機生産数は62機に終わった。内訳は717が3機、737NGが47機、747が2機、767が2機、777が8機である。これは昨年同期の67機より少なく、今年第2四半期の85機にくらべるとかなり少ない。また、9月の引渡し数は6機だけであった。
これにより今年1月から9月末までの9ヶ月間の引渡し数は217機となった。内訳は717が9機、737NGが160機、747が9機、757が2機、767が7機、777が30機で、昨年同期の218機より1機少ない。
ボーイング社は今年1年間に320機の引渡しを計画していた。したがって予定通りの引渡しをするには、今後3ヶ月間に103機を製造する必要がある。しかし今の見こみでは30機前後の減少、少なくとも21機が計画減となるもよう。
売上高も、ボーイング社のスト直前の計算では、1ヶ月のストで21億ドルの減少になると予測されている。
こうした遅れを少しでも取り戻すために、労働時間の延長など、ボーイング社は懸命の努力をすることにしており、コストが上がるものの、引渡しの遅れを減らして顧客の信用を得ることが大切としている。
なお、ボーイング社のストライキは工場の機械工組合員およそ18,000人によるもの。医療保険の負担金引き下げと年金額の引き上げが問題だった。ストの結果、年金は6%増となった。
一方、エアバス社の生産数は2003年以降、ボーイング社を上回るようになったが、この第3四半期の引渡し数は82機であった。また今年9ヶ月間の引渡し数は271機で、ボーイング社よりも54機多い。1年間では総数360機の引渡しになる見こみ。
しかし受注数は、上半期の半年間でエアバス413機、ボーイング592機で、ボーイングの方が多かった。年末の勝負もボーイングの勝ちで終わるのではないかと見られている。
(西川 渉、2005.10.7)
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