<エアバス対ボーイング>

A350の開発開始

 

 欧州エアバス社は10月6日、A350旅客機の開発を正式に決定したもよう。この時点で、同機は顧客9社から140機の確定的な予約を受けているという。年末までには200機の確定注文を受ける見込み。

 A350は2種類の派生型が計画されている。基本型のA350-800は3クラスの標準座席配置で258席。16,300kmの航続性能を持つ。もうひとつのA350-900は316席で、航続13,890km。前者は2010年なかばに就航、後者はその1年後に就航の予定。

 エンジンはGEnx、またはロールスロイス・トレント1700(推力34,000kg)が2基。 

 A350の受注数140機の内訳は、エアヨーロッパ10機、ALAFCO12機、CIT5機、GECAS10機、キングフィッシャー航空5機、カタール航空60機、TAM8機、USエアウェイズ20機、そして社名未公表のエアラインから10機となっている。

 なおA350の開発費をめぐって、エアバス社とボーイング社の間で世界貿易機関(WTO)への訴訟合戦をおこなわれている。これはエアバス社が同機開発費44億ユーロ(約6,000億円)の3分の1の支援をヨーロッパの関係国政府に要望していたため。これに対して、米国側は、A350のみならず他の機種についても、政府支援は公正な競争を損なうため一切認められないとして提訴したことから、欧州側の関係4ヵ国政府は当面、補助金を見合わせることとし、最終決定を2006年末まで延期することにした。

 エアバス社は、かねてから補助金がなくともA350の開発は実行するとしていた。A350は2010年に就航の予定。

(西川 渉、2005.10.8) 

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